Okhotsk

 流氷を見に行った。何故と聞かれればそれはやはり受動的なきっかけなのだけれども、こればかりは見に行けて良かった。初である。道東も初に近い。
 まずは好天に感謝。御来光は拝めなかったけれども。つまりは、朝も早よから運行している流氷観光船ガリンコ号というシロモノに乗船することを目的としたのだ。
 乗船前日の夕方に紋別に到着した。紋別は市である。そしてまごうことなき観光地なのである。という前提で臨んだのだが、何だか肩すかしをくらった気分。いわゆる、観光で訪れる者と現地の人々とのディスコミュニケーションを具現化したかのような、ぎこちない観光地という印象。お土産屋がまるでないのだ。それでいい。私はそれくらいの地方を愛する。
 しかし気になったのは、地元の方も困るのではなかろうかという、ショッピングセンターの不在。いや、暗くなってからちょろちょろとそこら辺を歩き回っただけだから、発見できなかったに過ぎないかも知れない。それにしても中心部でスーパーも見つけられないとは。不思議な街であった。
 その夜は、半ば当然の如く車中泊である。道の駅の駐車場、同じように集ってきた車達は一晩中アイドリングが多いようだったが、こちらは万全の装備(多数の毛布)を以てして省エネに励んだ。いや、その日は本当に幸運なことに心持ち気温が高かったおかげなのだが。