Mac OS X におけるメニュー

 Mac OS X で、メニューの区切り線の上でクリックしてしまったら、何も起こらない。それはいいのだ。しかし、そのままメニューが消えるのはいかがなものか。「はい消えたー」って感じに。Mac を使用しているうちに、どうもメニューに癖があると感じたのだが、理由の一つはこれだと思う。

 気にならない方にとっては、かなりどうでもいいことだし、自分の操作上の問題で、気をつけて選択すればいいだけだと言われればそれまでである。Mac OS X の素晴らしい総合的な操作感から見れば、本当に些細なことである。しかしあえて考えてみた。これは「誰にとっても使いやすい」UIと言えるだろうか。

 もう一つ、サブメニューがある項目の上で、二回クリックしても同様にメニューが消える。こんなことはさほど支障がないように思えるが、サブメニューがある項目を一度クリックした後、次にどのくらいの間を開けてクリックするかは、使用者次第なのだ。可能性は低いだろうが、メニュー選択途中に電話が鳴り、用件の後にそのサブメニューをもう一度クリックすると消えてしまう、ということになりかねない。操作感に悪い印象を与えるだろう。サブメニューがある項目を何回クリックしてもメニューは消えない、これが予期される挙動だと思う。

 さらに、メニューでクリックし始めて、実行する項目の上でボタンを離す、いわゆるドラッグで使用していると、上記の挙動による影響が著しくなる。このドラッグによるメニュー選択は Windows でもよく使っていた。とりあえずメニューをドラッグし始めて項目を探すも、目的の項目が見つからず長期戦になりそうな場合、区切り線の上で一度ドラッグをやめてからゆっくり探す、ということをやっていた。この例は非常に少なく、むしろ間抜けと言えるレベルだろうが、それが不可能になっているのである。

 書いているうちに、メニューのトップレベルでドラッグをやめたらどうなるか試してみたら、やはり消えた。それどころか、メニューのトップレベルでクリックし続けてマウスを動かさない、ドラッグをするかどうか決めていない状態でボタンを離しても、メニューが消えた。マウスを動かさなかったらドラッグにならないという認識でいたが、それは Mac では通用しなかった。ボタンを押してすぐ離す、これだけの操作で、押してから離すまでに時間をおくという方は、これまで意外とお会いしてきた。時間がかかるのではなく、むしろ、ボタンというものはしっかり押そうという心構えからきている行動だと感じた。それらの方にとっては、メニューの選択ですら一苦労となるであろう。これからさあ選ぼうというメニューが、消えてしまうのだから。クリックしてからドラッグになるまでの時間というのは、どこかの設定で変えられるだろうか。ざっと調べた限りでは見つからない。

 ふと気づくと、ただいま使用中の Firefox のポップアップメニューでは、区切り線がよく見ると点線になっていて、これはクリックしてもメニューが消えない。クロスプラットフォームだから操作性を合わせてあるのか、XUL でできているからなのか。詳しいことはわからないけれど、「これだよこれ」と感じた。

 結局、こうしろ、と言いたいのではない。慣れるものは慣れる。慣れちゃってるから変えるなという意見もある。みんなが使いやすいものになればよいなと思うけれど、自分が使いやすければ他人が使いやすい、というものでも当然ないから難しい。